やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 目の前に現れた美しい23歳のオルに、領地から出てきたばかりの田舎娘の私が夢中になるのは、容易く想像がつく。

 19の私でさえ、こんなに簡単に堕ちたのだ。
 自分の理想が形になって現れた様なオルから
『将来、君は俺の恋人になるんだよ。13年後から会いに来たよ』と言われたら、夢見る乙女は何を聞かされても受け入れるだろう。


 オルと比べたら、高等学院時代のシドニーなんて、ジャガイモだ。
 好きになるわけがない。
 他に恋人なんて作らない。
 その日から私は、オルに出会える時を待ち続ける。


 高等学院でシドニーと距離を取り、友人にもならなければ。
 彼のバースデーパーティーには呼ばれず、昨夜あの場に行くことはなくなり、自然にとばっちり事故は回避される。
 その流れは納得は出来るから、今は文句は言わない。
 まだ話の途中だから、言わないけれど……



 さっきからのモヤモヤの正体が分かってしまった。
 このモヤモヤが大きくなって、拗らせてしまう前に、オルに気持ちを隠さずに伝えようと思った。
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