沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
「あっ……あの、私……次のバス停でおりますので」
「マジ? 声まで天使って。俺のこと誘ってるでしょ?」
誘ってる?
私が?
いやいや、これは拒絶ですから。
「もしかしてサキュバスだったりする? 二人だけになるとシッポが生えちゃうんでしょ? お兄さん、見たいなぁ」
サキュバス?
何それ?
そんな英単語、初めて聞きました。
「遊園地の花火大会に行くんでしょ? 彼氏と?」
「……」
「彼氏と行くなら、頷くぐらいするもんね。それはラッキー。俺も行くんだよね、夏祭り。オス3人で。寂しすぎだとおもわない?」
男3人。
いいと思います。
男子校みたいにワチャワチャノリで、夏祭りを楽しんできてください。
そんな素直な思いを、言葉にできない私。
バスさん、早く遊園地についてください!
窓際の席に座り、恐怖に耐えながらうつむくことしかできない。