沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
泣きそうになりながら、目をつぶる。
怖い現実から、意識だけでも逃げたくて。
その時、運転手さんの声がバスの中に響いた。
「ご乗車ありがとうございます。遊園地入口、遊園地入口です」
良かった、バスを降りられる。
これでチャラいお兄さんから解放される。
希望が見えた私。
お兄さんが立ち上がた隙に、さっと座席を離れる。
バスの中は、遊園地に向かうカップルだらけ。
浴衣女子に紛れ、私はお兄さんと距離をとるのに成功した。
運賃箱のパネル部分に、バスカードをピッ。
「ありがとうございました」
運転手さんにお礼を言って、ササッとバスを降りる。