沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
ひぃあい!
ニコニコ笑顔のまま、ドスのきいた低い声で脅されちゃった。
黙っていても、強引に連れ去られそう。
説得して、諦めてもらわなきゃ。
「私……一緒に夏祭りを回る男子がいるんです……」
「男って言っても、友達でしょ?」
「……そうですけど」
「相手、高校生? どうせ未成年でしょ?」
「……はい」
「ガキと遊んで何が楽しいの? 女子高生って、背伸びをして大人と付き合うのが楽しいんじゃん。 俺はもう大人だし、君を楽しませる自信があるよ」
相手が大人とか。
未成年とか。
そんなことはどうでもいいんです。
「私はその人と一緒に、花火を見たいんです」
だから早起きをして、慣れないヘアメイクを頑張ったんです。
「俺がいるのに、違う男の話をするなんて。あぁあ~、マジで最悪。気分悪っ。俺、悲しい気持ちになっちゃったなぁ~」
話しが通じない人に、何を言ってもダメなんだ。
とりあえず、人ごみに逃げ込もう。