沼甘総長は、左手の薬指を独占したい


「これで失礼します」


「こら、逃げないの!」


ひゃっ!


「手を放してください!」


「ダメだよ~ 俺まだ、悲しんでる最中なんだから。君に慰めてもらえるまで、手を離さないからね」



怖い、怖い。

手を振り払おうとしても、強い力でギューって引っ張ってくるし。



助けを求めたい。

でも……

なんで私は、遊園地の入り口から離れたところに立ってしまったんだろう。


キャラクターの銅像のせいで、スタッフさんからも死角だし。

幸せそうなカップルたちに気づいてもらいにくい、木々の陰だし。



「怯えなくて大丈夫だよ。お兄さんが出店で、何でも買ってあげるから。ほら、園内に入ろ」



なれなれしく、肩を抱かれちゃった。

怖い。

ほんと無理。



「お願いです。離してください!」


「ダ~メ」


「叫びますよ。助けてって」


「叫ぶ勇気なんて、君にあるの?」

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