沼甘総長は、左手の薬指を独占したい


もう降参です。

高校には、大好きなお友達がたくさんいる。

アズちゃん達が傷つけられるくらいなら、私がこのお兄さんの指示に従った方がいい。

大事な友達を犠牲にしたくない。



覚悟を決め、私は目をつぶる。


お兄さんに肩を組まれたままの状態で、手のひらをギュッと握りしめ


「わわっ…私が……」


なんとか声を絞り出した時


「汚い手で、姫野に触らないでもらえますか?」


私の弱々しい声は、凛としたワイルドボイスにかき消された。



目の前に現れたのは東条くん。

深紅の浴衣に、漆黒の帯を腰骨あたりで締め。

怒りみなぎる眼光を、お兄さんに突き刺している。

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