捨てられ傷心秘書だったのに、敏腕社長の滾る恋情で愛され妻になりました【憧れシンデレラシリーズ】
「ふふふ、でも。今日のこの店、箕島商事の秘書、船戸さんの紹介ってことで予約が取れたの。だから心の広い私は、許してあげます」
にっこり笑ったその顔をよく知っている。学生時代に私をいじめていた人も同じような表情をしていた。
きっと私に文句を言って、ストレスを発散しているのだろう。反論したところでなにも解決しないのはわかっているので、黙ったまま視線を雅也に向ける。
彼と付き合っている時に、雰囲気のいい店を何軒か聞かれた。
その時は呑気に「クリスマスに予約してくれるのかな?」なんて思っていたのにそんな日は来なかった。
それどころか、彼女のために私の名前を使っていたなんて。
雅也も気まずいのか私と目を合わせようともしない。散々泣いたのにまた悔しくて涙が出そうだ。
「もういいだろう、行くぞ」
雅也は早くこの場を離れようと、再び彼女の手を引く。
しかし間の悪いことに、そこに社長が戻ってきてしまった。
「船戸、そちらは?」
そう聞かれても仕方ないだろう。私は面倒なことにならないようにとごまかした。
「あの……ちょっとした知り合いです」
「ちょっとした、知り合い、ねぇ……」
しかし社長は、目の前にいるのが元カレの雅也だと見抜いてしまったようだ。
どうするべきなのか困っていた矢先、声をあげたのは雅也の彼女だ。
「あの、もしかして箕島社長ですか?」
目を輝かせ、熱い視線を社長に送っている。
「えぇ。そうですが」
「きゃー嘘、本物だ! すごい、雑誌とかネットニュースとかで拝見するよりもカッコいいんですね。えーすごい」
静かに食事を楽しむ方たちの中、黄色い声が響く。そんな彼女に対して社長が笑みを深めた。それに雅也の彼女は調子づいてしまったようだ。
「でも秘書さんとの食事でも、こんな高級店に連れてくるんですね。さっすがー。部下にも優しいんだぁ。いいなぁ、私も箕島商事で働きたい」
これは……あまりよくないサインだわ。
他の人から見たら、にこやかな人好きのする笑顔に見えるだろう。しかしこれは機嫌の悪さを最大限に笑顔の仮面の下に隠している時だ。
早く彼女をここから離した方がいい。気まずそうな雅也がちょうどいいタイミングで、彼女の手を引いて社長から距離を取らせた。
「なんで引っ張るの? 私も個室で食事がしたい~ご一緒できたらうれしいな」
さすがに図々しいと思ったのか、雅也が血相を変えた。
「すみません、お騒がせして」
雅也が頭を下げる後ろで、彼女は不満げに口をとがらせている。もう少し話したいと顔に書いてあった。社長はそんな彼女は無視して、雅也の方に向いた。
「いえ、お気になさらないでください。あなたには感謝しているんですよ」
「えっ?」
雅也が驚いた顔をしている。私もその言葉に目を丸くし黙ったまま様子をうかがう。
「あなたにというか、あなたの女の見る目のなさに、かな?」
社長はちらっと雅也の後ろにいる女性を見た。それで彼女は自分が悪く言われているのに気が付いて、「どういうことですかっ!?」と顔を真っ赤にしている。
「君が船戸と別れてくれて本当に感謝している。おかげで俺のものにできた」
「社長!」
その言い回しは誤解を生むと思い、止めようとする。しかし社長は視線だけで「いいから」と私をあしらう。
雅也は驚きで言葉に詰まり、ジッと社長の顔を見ているだけだ。
「まぁ、あの程度の女が美涼の代わりになるとは思えないけどな」
わ、わざと名前を呼んだ!
さっきとは違い、今度は誰にでもわかる人の悪い笑みを浮かべている。
「美涼、ここは空気が悪い。部屋に行こう」
促された私は、これ以上ここにいたくなくて素直に従う。すぐに社長が隣に来て私の腰のあたりに手を置いて、エスコートする。
大切に扱われていると、おそらく雅也と彼女に見せつけるためだろう。嫌な思いをした私のための意趣返しのようなものだ。
効果はてきめんで、振り返ると、残されたふたりは茫然と立ち尽くしたまま私たちを見ていた。
にっこり笑ったその顔をよく知っている。学生時代に私をいじめていた人も同じような表情をしていた。
きっと私に文句を言って、ストレスを発散しているのだろう。反論したところでなにも解決しないのはわかっているので、黙ったまま視線を雅也に向ける。
彼と付き合っている時に、雰囲気のいい店を何軒か聞かれた。
その時は呑気に「クリスマスに予約してくれるのかな?」なんて思っていたのにそんな日は来なかった。
それどころか、彼女のために私の名前を使っていたなんて。
雅也も気まずいのか私と目を合わせようともしない。散々泣いたのにまた悔しくて涙が出そうだ。
「もういいだろう、行くぞ」
雅也は早くこの場を離れようと、再び彼女の手を引く。
しかし間の悪いことに、そこに社長が戻ってきてしまった。
「船戸、そちらは?」
そう聞かれても仕方ないだろう。私は面倒なことにならないようにとごまかした。
「あの……ちょっとした知り合いです」
「ちょっとした、知り合い、ねぇ……」
しかし社長は、目の前にいるのが元カレの雅也だと見抜いてしまったようだ。
どうするべきなのか困っていた矢先、声をあげたのは雅也の彼女だ。
「あの、もしかして箕島社長ですか?」
目を輝かせ、熱い視線を社長に送っている。
「えぇ。そうですが」
「きゃー嘘、本物だ! すごい、雑誌とかネットニュースとかで拝見するよりもカッコいいんですね。えーすごい」
静かに食事を楽しむ方たちの中、黄色い声が響く。そんな彼女に対して社長が笑みを深めた。それに雅也の彼女は調子づいてしまったようだ。
「でも秘書さんとの食事でも、こんな高級店に連れてくるんですね。さっすがー。部下にも優しいんだぁ。いいなぁ、私も箕島商事で働きたい」
これは……あまりよくないサインだわ。
他の人から見たら、にこやかな人好きのする笑顔に見えるだろう。しかしこれは機嫌の悪さを最大限に笑顔の仮面の下に隠している時だ。
早く彼女をここから離した方がいい。気まずそうな雅也がちょうどいいタイミングで、彼女の手を引いて社長から距離を取らせた。
「なんで引っ張るの? 私も個室で食事がしたい~ご一緒できたらうれしいな」
さすがに図々しいと思ったのか、雅也が血相を変えた。
「すみません、お騒がせして」
雅也が頭を下げる後ろで、彼女は不満げに口をとがらせている。もう少し話したいと顔に書いてあった。社長はそんな彼女は無視して、雅也の方に向いた。
「いえ、お気になさらないでください。あなたには感謝しているんですよ」
「えっ?」
雅也が驚いた顔をしている。私もその言葉に目を丸くし黙ったまま様子をうかがう。
「あなたにというか、あなたの女の見る目のなさに、かな?」
社長はちらっと雅也の後ろにいる女性を見た。それで彼女は自分が悪く言われているのに気が付いて、「どういうことですかっ!?」と顔を真っ赤にしている。
「君が船戸と別れてくれて本当に感謝している。おかげで俺のものにできた」
「社長!」
その言い回しは誤解を生むと思い、止めようとする。しかし社長は視線だけで「いいから」と私をあしらう。
雅也は驚きで言葉に詰まり、ジッと社長の顔を見ているだけだ。
「まぁ、あの程度の女が美涼の代わりになるとは思えないけどな」
わ、わざと名前を呼んだ!
さっきとは違い、今度は誰にでもわかる人の悪い笑みを浮かべている。
「美涼、ここは空気が悪い。部屋に行こう」
促された私は、これ以上ここにいたくなくて素直に従う。すぐに社長が隣に来て私の腰のあたりに手を置いて、エスコートする。
大切に扱われていると、おそらく雅也と彼女に見せつけるためだろう。嫌な思いをした私のための意趣返しのようなものだ。
効果はてきめんで、振り返ると、残されたふたりは茫然と立ち尽くしたまま私たちを見ていた。


