LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「これ、金具が細すぎるんだよ。で、シメが少し甘かったかな」

 瑶煌が言う。紐側の金具が細く、なおかつ藍の金具のしめ方がゆるかったため、すり抜けて落ちてしまったようだった。

「これならさ……ちょっと待ってて」

 工房に引っ込んだと思ったら、すぐに戻って来た。

「この金具を使うとすり抜けないよ。二重丸カンって言う」

 丸が二重になったような金具に目の前で取り替えた。

「すごい、あっという間に!」

 藍は素直に感心した。さすがジュエリーデザイナーだ。

「これ、いいな……」

 直ったストラップを凝視して、瑶煌が言った。ひっぱったりひっくり返したり金具をいじったり、じっくり見始める。

「そ、そんなにみられると恥ずかしいです……」

「このアイディアもらっていい?」

「へっ」

 咄嗟(とっさ)に変な声が出た。

「わ、私のオリジナルってわけでもないし、大丈夫だと思います」

「お、新作誕生か?」

 直哉がわくわくしたように言う。

「すごいです」

 藍が言う。

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