LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「君もやればいいよ」

 瑶煌が言う。一瞬、何を言われたのかわからなかった。目があうと、瑶煌はうれしそうに目を細める。

「アクセサリー、作ってみて楽しかったでしょ?」

「はい」

 いいのかな、挑戦してみても。

 作ったときのワクワク感が(よみが)る。完成したときの達成感も。派遣で働いていたときには感じたことのない感覚。

「一緒に工房でやってみる?」

 優しく言われ、胸が高鳴る。

 藍は扉が開いている工房をちらりと見た。あの狭い工房で瑶煌と二人。

 想像しただけで心臓が爆発しそうだ。

 見守るような瑶煌の視線になおさら気分は高揚した。

 が、すぐに突き刺さるような瑠璃の視線に気づく。

「え、遠慮します」

 視線だけで殺される、と恐怖を感じた。

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