LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

62 直哉からの連絡

 直哉から連絡が来たのはその夜のことだった。

 引越しは翌日だから、刑事が帰ったあと、なんとか気をひきしめて荷造りを終わらせた。

 動くたびに肩や背中が痛かった。

 コンビニで買ったごはんを食べ終え、スーツケースに当面の荷物をつめこんでいたとき、スマホが鳴った。

 メッセージアプリでの連絡だった。

「ごめん。全部俺のせいだ。死んでお詫びする」

 短いそのメッセージに藍は目を疑った。

 どういうこと?

 急に心臓がばくばくする。スマホを持つ手が震える。

「どういうことですか?」

 メッセージを返して返事を待つが、何も返ってこない。

 冗談にしてはタチが悪い。

 昼間の刑事が言っていた。

 誰かが店のパソコンを使って書き込みをしていた、と。

 あのストーカーが店の事務所にあるパソコンを使えるわけがない。

 いや、だが、ストーカーは平気で住居侵入などをやらかすと聞いたこともある。だから俺のせいだ、と?

 10分たっても返事がなく、藍はいてもたってもいられなくなった。

 直哉に電話をかけるが、コール音だけが虚しく鳴り響く。




< 218 / 262 >

この作品をシェア

pagetop