育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
俺の予想は的中し、宇田先生に余計なことを吹き込まれたよう。
……通りで、今日の外来診療後やたらとベタベタしてきたわけだ。

もともと、宇田医院長が俺と娘を結婚させたがっているのは知っていた。
『娘と結婚すれば、君の将来も安泰だ』と言われていたが、俺には地位だとか名誉だとかそういう類のものには興味がない。

それに、その結婚させたいと言っている娘が裏表の激しい性格だということを、俺は知っている。
そんな女性には、これっぽちも心が動かされないのだ。


ラーメンを完食してから急ぎ足で医局へと向かうと、デスクでは宇田先生がオペの予習をしていた。
こういうところは、真面目なのに。


「宇田先生、ちょっとお時間よろしいですか?」

「あっ……山内先生。お食事終わられたのですね。なにかありましたか?」


外来ナースたちと会話をしているときより、ワントーン程高い声。こういうところが、苦手なんだ。


「お話しておきたいことがありまして」

「はぁ……では、場所を変えますか?」

「そうですね。ここではまずい」


読んでいた資料を丁寧に閉じて、席を立つ宇田先生。医局を出ると比較的人が少ない屋上へと向かい、周りに人がいないことも念入りに確認した。

さすがに、こんな話を聞かれてはまずい。
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