ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 事務所が用意してくれたマンションは、所謂社宅で主に事務所の社員や所属タレントが入居している。地方から出てきたタレントが都内で少しでも楽に暮らせるように、と社長が不動産から借り上げているのだそう。

 社宅から引っ越すことが、人気タレントへの第一歩になるらしい。
 社員でも所属タレントでもない私が住まわせていただくのは申し訳ないけれど、家賃が格安でとても有難い。

 日華さん曰くこれは「償い」なんだって。
 何となく意味はわかるような気もするけれど、それでも申し訳ない気持ちになってしまう。

 マンションに着いて中へ入ろうとした時、突然声をかけられた。


「あれっ、あかりちゃん?」


 突然名前を呼ばれて、驚いて振り返る。私に声をかけてきたのは、小太りの男性だった。
 申し訳ないが、見覚えがない。


「えっと、どちら様ですか……?」

「えっ覚えてないの?俺だよ!同じサークルだった土田!」

「ああ……!」


 そうだ、日華さんの同期だった土田先輩だ。
 大学生の時より太っているのでわからなかった。


「土田先輩、お久しぶりです」

「久しぶり!あれ、あかりちゃんここに住んでんの?ここ、ネプチューンの社宅だよね?」

「ママー、このしとだれー?」

「っ、」


 星來が私の服の裾をくいっと引っ張る。土田先輩が星來に気づくと、大袈裟に大声をあげた。


「えっ!あかりちゃんの子ども!?」

「はい、娘です……」

「マジかよ!いつの間に!」


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