孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「つまり、電車ではじめて熟睡したことで私に興味をもち、なおかつ私が落とした求職カードの情報から割り出して、転職サイトを通じてスカウトを送ってきた、ということですか?」

 じろりと睨むと、美麗な社長はふんと鼻を鳴らした。

「知らん。俺は深水に電車で眠った経緯と、その紙切れを持ち主に返してやれと伝えただけだ」

「はい、ですので今こうやってお返ししたところです」

 整った顔をにこにこと嬉しそうに緩めている社長秘書を見上げた。この人、人の好さそうな笑顔を浮かべているけど、じつはとんでもない曲者かもしれない。

「というわけで、仕事を探してるんだろ。ちょうどいい。俺もそろそろ心配性の秘書がわずらわしくて気が触れそうだったところだ」

「またそんなご冗談を」と笑う深水さんを無視し、穂高社長は仕切り直すように口にした。

「おまえに仕事をやろう。俺と同衾しろ」

「ど……どうきん?」

 なんとなくわかるような、わかりたくないような気持ちで問い返すと、恐ろしく美しい顔を微動だにせず、ホダカ・ホールディングスの社長は答えた。

「俺と一緒に寝ろ、と言ったんだ」

 はっきりとした口調は、とても冗談を言っているようには聞こえない。つまり、この人は本気なのだ。冗談じゃない。

「お断りしま――」

「月百万でどうだ」

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