孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「ひゃっ……⁉」

 声が漏れてしまい、慌てて手で口を覆う。咳ばらいをする私を見ていた穂高社長が、皮肉っぽく片頬を上げた。

「健気にも実家に仕送りをしているそうだな」

「え」

 私が顔を上げるのとほぼ同時に、深水さんが静かな口調で口を挟んだ。

「申し訳ありません。遊佐さんのことを少々調べさせていただきました。さすがに身元のわからない女性を、社長のプライベートな空間にお招きするわけにはいきませんので」

 出しかけた言葉が引っ込んだ。勝手に自分のことを調べられて良い気分はしないけれど、深水さんや穂高社長の立場からすれば当然のことかもしれない。

「下調べは取引の基本だ」

 美麗な顔を崩さずにつまらなそうに言うと、穂高社長は私に目を戻す。

「俺と同じベッドに入る。それだけで稼ぎはこれまでの五倍だ。そんな仕事、ほかにないだろ」

「たしかに……ほかにはありませんね、そんなまっとうじゃない仕事」

 俺様な言動を隠そうともしない穂高社長は、私の言葉にちっとも表情を変えない。無表情すぎて冷たくも感じられる視線を見返して、はっきり口にした。

「いくらお金をもらったとしても、一緒に寝るなんてできません。私には彼氏だっていますし」

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