孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「一緒のベッドで寝るだけだ。俺はお前に手を出さない。別に夜伽を求めているわけじゃないからな。なんなら誓約書を書いたっていい」

「そ、そういう問題じゃ」

「じゃあ、どういう問題なんだ?」

 言葉に詰まった。ただでさえ人を魅了するような容姿なのに、曇りのない瞳でまっすぐ見つめられて顔が熱くなる。

「モラルの問題です!」

 視線を下げてどうにか言い切った。目が合わないように顔を伏せたまま、言うべき言葉を連ねる。

「異性と一緒のベッドで寝るなんて、そんなの恋人か家族じゃなきゃおかしいです!」

 自分でもびっくりするような大きな声が出た。しんと空気が静まり、おそるおそる顔を上げると、脚を組んでこちらを見ている穂高社長と目が合う。

 この世のすべてを睥睨するような冷えた目に、胸が騒いだ。恐怖のせいなのか、それとも整いすぎた顔に対する恐れのせいなのか、それとももっと別の角度の感情なのか、自分でも判断がつかない。

「なるほど、モラルか」

 つまらなそうにつぶやくと、組んでいた長い脚を解く。

「普遍的かつ曖昧な基準だな。だが、尊重してやろう」

 美麗な俺様社長は相変わらず飄々とした表情で振り返り、秘書を呼んだ。

「深水、婚姻届を用意しろ」

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