孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 短大生のときにアルバイトとして働いて以来、気のいいふたりにはなにかとお世話になってきた。余った食材を実家に送らせてくれたり、就職の相談に乗ってくれたり。

 客席は厨房を囲うように設置されたL字のカウンター席が九席だけ。旬の素材を活かした日本料理を楽しめるお店とあって客足も上々だ。

「面接、今日だったんだっけ。どんな社長だったの? メタボの嫌味なオヤジ?」

「それが全然オヤジじゃなくて。むしろ見た目はとても良かったというか」

 だからこそ、発言がありえなさ過ぎて残念な気分になるというか。

「へー、社長イケメンだったんだ。IT系とか? なんかイマドキって感じ」

 手際よく作業を進めながら笑うリサさんとあざやかな包丁さばきを見せる修造さんは、どちらも細身ながら筋肉質な体形で浅黒く焼けている。

 休日は夫婦で山登りが日課になっている彼らが八年前にオープンした『いろどり亭』は、古材を再利用した古民家風の造りで広くはないけれど木のぬくもりが落ち着いてほっとできる。だからアルバイトをやめた今でもついつい足を運んで無理やり手伝わせてもらっていた。今やいろどり亭は第二の実家みたいな位置づけだ。

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