孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
不思議に思いながら玄関を抜けてリビングに向かうも、ソファにいつもの姿がない。部屋は薄暗いまま、微かな物音が聞こえる。リビングに面した引き戸の向こうは六帖の寝室で、私たちはいつもシングルサイズのベッドにふたりで身を寄せ合って寝ている。といっても夜は純也がバイトだし、日中は私が仕事だったから、一緒に寝るのは休日くらいだ。
その寝室から、ベッドの軋む音が聞こえてくる。ひとりで静かに寝ているぶんには鳴らないような、ギシ、ギシといった一定のリズムで。
心臓が早くなった。
痛いほど脈打つ鼓動にあらがうように、ゆっくり足を踏み出す。花に留まって休んでいる蝶を捕まえるみたいに気配を消しながら扉に近づき、引手に指をかけて一呼吸。一気に引き戸を滑らせた。
目に飛び込んできたのは、ベッドで重なる男女の姿。もちろん裸だ。
はっとした顔で振り返った純也が私を見て固まる。彼の下には色白の肌に真っ赤な唇が映える妖艶な美女が寝ていて、純也の視線に気づいたように気だるげな目をこちらに向けた。
ああ、はいはい、これはアウト。完全に黒。
そんなふうに頭で思ってしまうくらい、実感がなかった。まるでテレビドラマや漫画のワンシーンでも見ている気分だ。感情を遮断するスクリーンの向こう側で、彼氏の浮気が発覚しようとしている。
その寝室から、ベッドの軋む音が聞こえてくる。ひとりで静かに寝ているぶんには鳴らないような、ギシ、ギシといった一定のリズムで。
心臓が早くなった。
痛いほど脈打つ鼓動にあらがうように、ゆっくり足を踏み出す。花に留まって休んでいる蝶を捕まえるみたいに気配を消しながら扉に近づき、引手に指をかけて一呼吸。一気に引き戸を滑らせた。
目に飛び込んできたのは、ベッドで重なる男女の姿。もちろん裸だ。
はっとした顔で振り返った純也が私を見て固まる。彼の下には色白の肌に真っ赤な唇が映える妖艶な美女が寝ていて、純也の視線に気づいたように気だるげな目をこちらに向けた。
ああ、はいはい、これはアウト。完全に黒。
そんなふうに頭で思ってしまうくらい、実感がなかった。まるでテレビドラマや漫画のワンシーンでも見ている気分だ。感情を遮断するスクリーンの向こう側で、彼氏の浮気が発覚しようとしている。