孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 どのみち今日は帰れないし、いつまでも公園にいるわけにもいかない。

 ふうと息をついて深水さんの整った顔を見上げた。

「それじゃあ、お言葉に甘えて」

「よかった。ではまいりましょう」

 そう言うと、彼は公園を出て、近くに停まっていたタクシーに声をかけた。後部座席の扉が開くとどうぞ、というように振り返って手を差し出す。

 無言で頷き、私はタクシーに乗り込んだ。



 …



 連れてこられたのは、高級住宅が立ち並ぶエリアにある三階建ての建物だった。

 扇型にそびえたコンクリート造りの門壁が玄関アプローチの二階部分まで覆っているけれど、四角く切り抜かれているから堅牢さはなくモダンな雰囲気だった。

「すごい。おしゃれな旅館ですね」

 二台分のスペースがある駐車場は空っぽだけど、玄関の反対側がガレージになっているようで閉じたシャッターがオレンジ色のダウンライトに照らされている。そちらにほかのお客さんの車があるのかもしれない。

 深水さんは笑顔のまま無言で門扉をくぐり、これまたモダンな背の高い両開きの玄関扉を開いた。

「うわ」

 思わず声が漏れる。

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