孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 白壁の視覚効果もあるのだろうか、玄関スペースだけで車が一台停まれそうなほど広い。靴を脱ぐ場所から段差になった室内まで、床一面がマーブル模様の美しい大理石になっていた。天井は二階まで吹き抜けでシャンデリアが優しい光を落としている。

 お客を出迎えるように壁際に設置された一脚のサロンチェア。金色のアームレストと布地の細やかな刺繍が高貴な人にしか着席を許さない空気を醸している。

 もしかして、閑静な住宅街に建つ穴場的な旅館なのかな。

 受付らしい場所は見当たらず深水さんがスリッパを出してくれる。アーチ状になった大理石壁の仕切りの向こうにロビーがあるらしく同じ大理石の階段と白いレンガ調の屋内壁が見えた。旅館というより美術館といった雰囲気だ


「こちらで少々お待ちください。今お茶をご用意いたします」

 言われるまま真っ白な皮のソファに腰掛けると、驚くほど柔らかかった。天井を見上げるとこちらも吹き抜けだ。十人は座れそうなラウンドソファの正面には黒い大きなテレビが壁に埋め込まれるように設置されていて白い空間を引き締めている。

 一泊でいくらするんだろう。

 寝そべっても余るほど広いソファの隅っこで縮こまりながら少しずつ不安になってくる。

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