孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「遊佐さんは私がお連れした大切なお客様です。あなたになにかあればこの深水、ご実家のご家族にどのように顔向けすればいいか」

「そんな、大げさな」

「冗談ではなく、どうか私のお願いをきいてくださいませんか」

 ふいに優しげな笑みを浮かべ、深水さんは続ける。

「困っている方がいたら手を差し伸べる。あなたも同じではありませんか? しかも私たちは一度は関わりを持ったのです。こちらの穂高も、口では冷たいことを言っていても内心はあなたを心配しています」

 無言で正面の不遜な社長を見やる。到底私を心配しているようには見えないけど、たしかに彼が私に手を出す心配はないのだろう。癪に障るけれど、女性に困ってるようには見えないし。


 返事に窮していると、ぐるるると獣の唸り声のような音が響いてとっさにお腹を押さえた。

「盛大な腹の虫だな」

 頬が熱くなる。

 やっぱり帰ります。いたたまれず、そう口にしようとした瞬間、深水さんが目を輝かせた。

「食事、召し上がってください。ちょうどローストビーフにいい具合に火が入ってる頃です」

 アイランド造りのキッチンカウンターの向こう側に回り込む社長秘書に、慌てて声をかける。

「いえ、そこまで甘えるわけには」

「食っていけ」

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