孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
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目が覚めると、見知らぬ天井が見えた。
ぼんやりしながら身を起こし、あたりを見回す。カーテンの隙間から漏れる光がグレーと黒を基調とした空間を映し出している。その真ん中にある、実家の家族全員で寝られそうなほど広いベッドに私はひとりで寝ていた。視線を下げると淡いグレーのバスローブをまとっている自分の姿が目に入る。
ああ、そうだ。パジャマ代わりに貸してもらったんだ。
穂高壱弥が所有する家のゲストルームは二階にあり、九帖ほどの広さで窓からは自宅前の通りを臨めた。反対側にも窓があり、そこからは高級サロンのロビーみたいな空間を見下ろすことができる。夕べ私が座っていた白いソファが置かれているそこは、驚いたことにこの家のリビングルームらしい。
枕元に畳んでおいたシャツを広げて着る。昨夜、洗濯乾燥機を使わせてもらったとはいえ昨日の服だから着替えたいところだけど、あいにく替わりは持っていない。クローゼットにはなぜか新品のシャツやらワンピースやらが並んでいて自由に着ていいと言われたけれど、そういうわけにもいかない。
壁掛けの姿見で頭からつま先までを簡単に確かめ、そっとドアを開ける。廊下に誰もいないことを確認し、突き当りにある洗面所に体を滑り込ませた。