孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 社長が受付の内線電話を取り上げて「穂高です」と短く告げると一分もたたずにドアが開き、かっちりとしたスーツスタイルの眼鏡をかけた女性が現れた。

「穂高社長。お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

 にこりともせずに言う彼女はすらりと背が高い。後ろで結い上げられた髪はおくれ毛ひとつなく背筋はシャンと伸びている。

 どこにも隙の無い、絵に描いたようなキャリアウーマン。

 仕事ぶりを見たわけでもないのにそう思えるのは、法律事務所に勤務しているという背景のせいかもしれない。自分にろくなスキルがないせいか仕事のできる女性は私のあこがれだ。

 きびきびと通路を進む彼女の背中を惚れ惚れしながら見つめているうちに応接間に通された。

「こちらで少々お待ちください」

 廊下に消えていく姿を見送りながらため息が出る。

「すごい、仕事ができそうな人ですね」

「鋼鉄の女か。愛想はないがな」

 どの口が言ってるんだろう、と内心を隠す笑みを浮かべつつソファに長い脚を放り出している彼を見る。

「鋼鉄の女?」

「そう呼ばれてるそうだ。笑わず媚びず鋼鉄の意志で働いてる、ってところか」

「そうなんですか。ますますかっこいい女性ですね。しかも眼鏡を取ったらものすごく美人なんじゃ」

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