孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「あ、これは失礼。穂高社長は仕事一筋だと思っていたので。いつのまにこんなに素敵な女性と」

 我に返ったように笑顔を取り戻し、甘いマスクの弁護士はにこやかに続ける。

「穂高社長には、私が独立する前からお世話になってるんです」

「世話になってるのはお互い様ですよ」

 穂高社長が会話を引き取って続けた。

「妻に同行させたのは紹介するためだけではなく、私の仕事を知ってもらうためでもありますので、どうかお気遣いなく」

「そうですか。では改めて弁護士の神谷伊澄です」

 差し出された名刺を受け取る。そこには『神谷総合法律事務所 所長弁護士』との記載があった。続いて傍らに立っていた鋼鉄の彼女も名刺を取り出す。

「秘書の久世です」

 神谷弁護士と同じデザインの名刺には『所長秘書 久世麗香』と記されていた。鋼鉄の女との呼び名にふさわしい、凛とした美しい名前だ。

 相変わらず微笑みひとつ浮かべず、彼女は「どうぞお掛けください」とソファを勧めてくれた。会釈をして私が席に着くと穂高社長がテーブルに資料を並べる。

「SY株式会社の件、簡単な共有になりますが二期連続で赤字を計上することが確定してます。銀行からも融資を受けられず、翌月の給与の支払いすらままならない」

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