フォーチュンクッキー
 シャーっと小さな水が地面を叩く音がやけに耳についた。


そのせいだよね、こんなに胸が締め付けられるのは。

 息もつらい。

 なんだかまた、目の奥が熱い。

ストローを握る手もかすかに震えてて、到底今のあたしでは太一さんを見ることなんてできやしない。



「あー…。やっぱやめようか、怜」

 太一さんの投げ捨てるような言葉に、あたしは慌てて顔をあげた。


あたしのせいで困らせるくらいなら、いっそあたしを突き放してもかまわない。


 スキって言った日から、精一杯背伸びするってきめたんだから。



「だ、だだだ、大丈夫です!」

 そうしたら、太一さんがにっこり笑ってくれた。


 手が伸びてきたから、またあのデコピンだ!

目をつぶって、額の激痛に耐える準備をしたのだったけど、痛みなんかまったく来なかった。


前髪の付け根辺りにぬくもりを感じて、撫でられてるって実感するのに時間がかかってしまった。


 だって、あんなに意地悪好きの太一さんが、デコピンじゃないんだもん!


「怜のバスケ部の手伝いをすることにしたんだ」


 予想外の言葉。



 レイ?


 チラリと隣の大きな人を見ると、そんなあたしに気づいたのかニカっと笑ってくれた。
< 124 / 506 >

この作品をシェア

pagetop