真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

部室を出て。



「寧々様、怒ってたね」
と、息吹ちゃんに言うと、
「寧々様は何でも親身になってくれるからねぇ。優しいんだよ、ものすごく」
と、息吹ちゃんは笑った。



確かにそうだ。

寧々様はいつも自分のことのように、一緒になって考えてくれる。



(すごいなぁ)



優しい寧々様も。

その優しさをきちんとわかっている息吹ちゃんも。






二年六組の教室にやって来た。

加瀬さんがいることを期待していたけれど、もう帰ってしまったらしく、加瀬さんの姿はなかった。



「どうする?息吹ちゃん」

「とりあえず、加瀬さんのアリバイは置いておいてさ、第一発見者を探そうよ」

「うん。……確か、時田さんを発見したのって、部活の朝練に来ていた人だよね?」



朝練。

あの日、朝練があった部活ってどの部活だろう?



「体育会系の部活かな?」

「え、彩葉ちゃん。吹奏楽部だって朝練しているらしいよ」

「えっ、そっか……」

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