真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

話しつつ、私達は「第二教室棟」から出て、時計広場に出た。

広場の中心に、時計塔がある。

丸い花壇の真ん中に背の高い時計が建っている作りで、うちの高校のシンボルになっている。

花壇の縁はベンチのようになっていて、私達はそこに腰掛けた。



ふたりとも黙って。

しばらく座っていたら。



「すみません」
と、声をかけられた。



「え、あ、はい」



返事をすると、ジャージ姿の男子生徒が、申し訳なさそうにこちらに近づいてくる。



「すみません。ここ、これからサッカー部が使いたいんです」

「ここ?あ、時計広場ですか?」

「はい。みんながランニングから帰って来たら、ここでストレッチとミーティングがあるんです」



男子生徒はペコっと頭を下げる。



私は頭を下げ返して、
「ごめんなさい。違う所に行きます」
と、息吹ちゃんと同じタイミングで立ち上がった。



少し考えてから、息吹ちゃんが口を開く。



「あの、すみません。お聞きしたいんですけど」

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