真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「はい。メッセージを読んで、そのまま中庭を通って本校舎に入りました。上靴に履き替えるのは面倒だったから、外靴を脱いで靴下のまま、二階の職員室でサッカー部の顧問の速水先生から鍵を貰いました。それで、本校舎から出て外靴を履いていた時に聞こえたんです」
「聞こえたって、さっき言っていた悲鳴ですか?」
慎重に息吹ちゃんが尋ねる。
岸くんは頷いて、
「女の子の悲鳴でした。何事だと思って、中庭に出たんです。そしたら陸上部の人達数人と、陸上部の顧問の水川先生がいて、みんな俺と同じようにビックリした顔をしてて」
と、言う。
「それで、どうしたんですか?」
「水川先生と陸上部の人達と俺は、『何事ですか?』って話していたんです。悲鳴は、多分体育館のほうだと思ったんです。でももう一度悲鳴が聞こえて、裏庭だっ!ってわかって」
「悲鳴が二回?」
「そうです。裏庭に行ったら、女子二人が尻餅ついたみたいな体勢で震えていました。その先には、その、時田さんが倒れていて」