真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「息吹ちゃん、何か考えているよね?」
さっきから黙ったままの息吹ちゃんの顔を、私はじっと見つめる。
「彩葉ちゃん、どう思った?」
「どうって?」
「時田さん、なんで亡くなったか、わかる?」
息吹ちゃんに問われて、私は正直に首を振った。
「息吹ちゃんはわかった?」
「……ねぇ、あのふたりが言ってたことって、本当だと思う?」
「えっ、うん。嘘だなんて疑ってもなかったよ!?」
息吹ちゃんは考えてから、
「うん。私もそう思う」
と、呟いた。
「息吹ちゃん?」
「……ねえ、足が変な方向に曲がっていたのはなんでだと思う?」
「……?わかんない、骨折?」
私は特に考えることもせず、思ったことを口に出した。
「そう、骨折だと思う」
「あれ、ちょっと待って?」
と、私は片手を胸のところまで挙げて、手のひらを息吹ちゃんに見せる。