真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「息吹ちゃん、何か考えているよね?」



さっきから黙ったままの息吹ちゃんの顔を、私はじっと見つめる。



「彩葉ちゃん、どう思った?」

「どうって?」

「時田さん、なんで亡くなったか、わかる?」



息吹ちゃんに問われて、私は正直に首を振った。



「息吹ちゃんはわかった?」

「……ねぇ、あのふたりが言ってたことって、本当だと思う?」

「えっ、うん。嘘だなんて疑ってもなかったよ!?」



息吹ちゃんは考えてから、
「うん。私もそう思う」
と、呟いた。



「息吹ちゃん?」

「……ねえ、足が変な方向に曲がっていたのはなんでだと思う?」

「……?わかんない、骨折?」



私は特に考えることもせず、思ったことを口に出した。



「そう、骨折だと思う」

「あれ、ちょっと待って?」
と、私は片手を胸のところまで挙げて、手のひらを息吹ちゃんに見せる。

< 58 / 195 >

この作品をシェア

pagetop