真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「橋谷先生の追っかけ?やめておいたほうがいいよ」
「え、あの……?」
「いろんな生徒が来るけどさ、橋谷先生、そういうの、嫌がってるから」
そう言って去って行こうとする彼女を引き止めて、私達は首を振り否定する。
「え?違うの?……ごめん、てっきり」
彼女は咳払いして、
「私、美術部の部長の、門倉 絵美里。三年二組です」
と、改めて自己紹介してくれる。
派手な茶髪の間から、キラリと光るピアスが見えた。
「橋谷先生に確認したいことがあって、どこにいるのか教えてほしいんです」
息吹ちゃんに、門倉さんは申し訳なさそうな表情で答えた。
「ここにはいないよ。せっかく来たのに申し訳ないけど」
「どこにいるか、ご存知ですか?」
「さぁ……?職員室とか?それくらいしか思い浮かばないかも」
私達は「職員室かぁ……」と、顔を見合わせる。