真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「何?他の先生に聞かれたくないとか?」

「いえ、いいんですけど」
と答えつつ、実はそうだ、と内心では思う。



(アリバイを確かめたいって言うと、時田さんの事件を追いかけていることが他の先生にもバレる……)



決して良い顔はされないと思う。




どうするか決めかねていると、
「橋谷先生ってさ、なんで人気があるんだろうね?」
と、門倉さんが聞いてきた。



「えっ、だから、ファンとかじゃないです」

「うん。でも多いんだよね。ファンだって言って、先生のことを追いかける人」

「そうなんですか?」



驚く私達の反応を見て、門倉さんは楽しそうに笑った。



「そんなに意外そうな表情をしてたら、橋谷先生も傷つくかもよ」
と言って、
「まぁ、良い薬かもね」
と、微妙な表情をした。



「?」

「あ、ごめん。私、橋谷先生のこと、苦手なんだ」



門倉さんは少し俯いて、
「あの人、生徒との距離感おかしいもん」
と、呟いた。

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