真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「彩葉ちゃん、部活に行こう」
「えっ、あ、うん」
私達は橋谷先生に頭を下げて、その場から離れた。
一階の、文芸部室。
寧々様が窓のそばのソファーに座り、何かを読んでいる。
「寧々様〜、何を読んでいるの?」
「彩葉、お疲れ。これはミステリー漫画。どういうわけか、毎回事件に巻き込まれる主人公が可愛いの」
「へぇ、面白い?」
「……うーん、そこそこ?」
その返事で。
寧々様にハマらない漫画であることがわかった。
寧々様は好き、嫌いがハッキリしている。
好きと思うものは、寧々様いわく、見た瞬間、知った瞬間に直感でわかるらしい。
そして好きなものに対しては、とことんハマる。
寧々様の『そこそこ』は、好きとは思えないってことで、嫌いな感情が混ざっている。
「で?」
と、寧々様は息吹ちゃんを見る。
「なんで息吹はそんな表情をしてるの?」