真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「彩葉、美術部の部長が言ってたんでしょう?橋谷先生は生徒と不倫している噂があるって」



私は頷く。



「その不倫相手が加瀬さんかもしれない。市川さんの可能性だってある。もしもそうなら、ふたりのアリバイ工作に、橋谷先生が加担することだってあり得る」

「えーっ……」

「あんた達みたいな聞き方したら、橋谷先生の嘘で真実が見えなくなる」



息吹ちゃんは頭を抱えて、
「そっか……。そこまで考えていなかった」
と、本当に悔しそうな声を出した。



「事前にアリバイ工作を計画してる可能性もあるけど、そうじゃなかった場合なら、聞き方ひとつで事件の本当が見えることだってあるんだから、これから気をつけなよ」



私も息吹ちゃんも、大きく頷いた。



「やっぱり寧々様はすごい」
と私が言うと、寧々様はフンっと鼻を鳴らし、
「全部今読んでる漫画の受け売りだけどね。明日に同じ話されても、私、多分違うこと言うかもよ。漫画の内容なんて忘れてる気がする」
と、笑った。

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