真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「その漫画、面白くないんだ」
と、息吹ちゃんが笑う。
「私はキラキラ輝く少女漫画が好きだからね」
寧々様は「当たり前のことを聞くな」というふうに、再びハッキリと言った。
寧々様が漫画の世界に戻ったので、私と息吹ちゃんは部室のテーブルで作戦会議を開いた。
「時田さんの事件についてさ、サッカー部の岸くん、ソフトボール部の矢戸田さんと立川さんに話を聞いたでしょう?」
私はメモ帳をパラパラめくりつつ、息吹ちゃんを見る。
「市川さんみたいにさ、証言が怪しい人っていた?」
「うーん、わかんない。でも岸くんの話と矢戸田さん達の話はバラバラに聞いているけど、合っている部分もあるし」
「……こうなると誰が嘘ついているとか、わからなくなるよね」
「でも、市川さんと加瀬さんが事件当日に一緒にいたこと、橋谷先生と一緒だったってことも、私は眉唾だと思う」
「うん。私もそう思う。でも、息吹ちゃんがそう思う根拠って何?」