真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「そう」
と、私は言った。
「そこで『裏庭』じゃなくて、『北校舎』っていう場所を言うのは、おかしいなって思っちゃった」
息吹ちゃんと寧々様は顔を見合わせて、
「すごい……」
と、呟いた。
「え?」
「すごいよ、彩葉ちゃん……!」
「あんた、ちよっと探偵になってきたじゃない!」
ふたりに褒められて思わずニマニマすると、
「調子にのらないの」
と、寧々様に笑って注意されてしまう。
それからすぐ、息吹ちゃんの顔が曇ってしまった。
「どうしたの?」
尋ねると、息吹ちゃんは曇り空の顔で、
「私、加瀬さんのこと……助けたかったのに」
と、呟いた。
「助けたいと思って、力になりたくて、調査してるのに。……今、加瀬さんのことを疑ってしまった」
苦しそうな表情の息吹ちゃんに、私と寧々様はしばらく何も言えなかった。
「でも」
と、私は口を開く。
「でもさ、加瀬さんが犯人とは限らない。そうじゃないと信じつつ、犯人の可能性を潰せたらいいじゃない」
「そうだよ」
と、寧々様も頷く。