悩める転生令嬢は、一途な婚約者にもう一度恋をする ~王族男子は、初恋の人を逃がさない~
 場が落ち着いてきたタイミングで、一度ジークベルトと離れた。
 するとすぐに女の子たちに囲まれてしまい、円満の秘訣だとか、どうやってあの人を射止めたのかなんてことを色々と聞かれた。
 身分的には私の方が上のはずなんだけど、思春期の女の子同士となるとあまり意識されないようだ。
 彼女たちと話していると、見えてくるものがある。

 私とジークベルトは、幼い頃から仲がいいと「評判」らしい。
 そのため、ジークベルト・シュナイフォードは仲もよく家柄も申し分ないアイナ・ラティウスと婚約するのだろうと、早いうちから噂されていた。
 ジークベルトは優秀で優しく、見た目も整った王族男子だから、彼との縁談を進めたい人はいくらでもいたはずだ。
 でも、ほとんどの人は婚約が発表される前から諦めていた。
 ……私が彼の隣にいたから、諦めるしかなかったんだ。

 そんな話を前々から知ってはいた。
 でも、こうやって外に出て、貴族のお嬢さんたちと話すと心がぐらぐらし始める。
 だからこういう場所は苦手。
 それでも来てしまったのだから……辛くたって、閉会まで笑顔でやり過ごすしかない。
 
 そんなとき、女の子たちの間に謎の隙間ができた。
 1つの集団だったものが、きれいに2つに割れていく。
 幅としては……1人なら楽に通れるぐらい。
 その空間を堂々と進み、とある人が私の前にやってくる。

「アイナ様、少しお時間をいただけますか?」
「リディ……」

 優雅に微笑み、凛と立つ彼女の名前はリディ・カンタール。
 カンタール侯爵家の長女で、記憶を取り戻す前の私と一番親しかった子だ。
 ちなみに私はリディの綺麗な銀髪に憧れて、銀色の絵の具をじっと見つめたことがある。
 仲がよかったからこそ、接し方に悩む相手の1人だけど――

 リディが私の目を見て頷く。
 ここは、彼女に甘えさせてもらおう。
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