ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
犬飼くんは驚いたような表情をした後、強張った頬を緩ませて「うん……!」と頷いてくれた。
犬飼くんと一緒に野菜を切って、それを手に事前に火を焚いて鍋を温めてくれていた滝口くんと杏月のいる所に行く。
「お、来た来た〜。今ちょうど火がいい感じだよ!」
杏月は親指を立てて私と犬飼くんに笑顔を振り舞いた。その明るさに自然と口角が上がる。
「杏月、滝口くん、火焚いてくれて本当にありがとう」
「も〜やだなあ。そんなもんお安い御用よ」
「いっいえっ、僕も初めての経験ができてなんだか感激というかなんというか……っ!」
対極的な二人が何だか微笑ましくて、私はもう一度ありがとうと言った。隣の犬飼くんも無愛想だけどありがとうとお礼を言う。
やっぱり、他の人の前では人が変わるんだな……。
じゃあ、なんで私の前だけあんなにも明るいんだろう?
そんな疑問が浮かんできたけれど、答えはすぐには出てこないと思って考えるのをやめた。
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みんなで力を合わせて作ったカレーを平らげ、今夜はキャンプファイヤーが行われるという突然の知らせを受けた私たち。
みんなわくわくとして浮足立っている。
これからキャンプファイヤーが行われる場所にぐるっと円のように座って、まだかまだかと楽しそうにお喋りをしていた。
各班ごとに地面にブルーシートを敷いて、キャンプファイヤーを囲むように円になって座っている。