君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
「ごめんなさい聡一朗さん、私のせいで余計に疲れさせてしまって。そうだお風呂はいりますか? 疲れがとれますよ。今日は朝食もきちんと召し上がった方が……今つくりますから」

 とベッドから立ち上がる私を、聡一朗さんが慌てるように止めた。
 その顔は驚くような、戸惑ったような表情を浮かべている。

「だめだ、なにを言っているんだ、君は病み上がりだろう? 俺のことは大丈夫だ。――君こそ、無理をしていたんではないか、今までずっと」

 「結婚に大学と慣れない生活が始まったのに、俺の世話までしようと無理をするから」と続ける聡一朗さんに、私は激しくかぶりを振る。

「無理なんてそんな。私がしたいからしているんです」
「……」
「あなたに喜んでいただきたいから、勝手にしているだけなんです……」

 聡一朗さんが眉をひそめる。
 板挟みになっているような、苦しげな表情だった。

 ああ、やっぱり、迷惑なのかな……。
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