君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜



 数日すると、風邪はすっかり良くなった。

 聡一朗さんは、その間も私を気にかけてくれた。

 安静にして大学を休んでいる間は山本さんに私の看病を依頼してくれたり、聡一朗さんが早めに帰ってきてお世話してくれた。

 その後も、忙しい合間を縫って連絡をくれたりして、体調を気遣ってくれた。

 聡一朗さんの細やかな心配りが嬉しかった。

 けど、愚かだと自分を叱っても、それだけに寂しいと思ってしまった。
 聡一朗さんは、私に無理な契約結婚してをさせた罪の意識で優しくしてくれているに過ぎないのだと、どうしてもそう思ってしまった。

 愛してくれなくてもいいと決めたのに、優しくされると心が緩んでしまって、かえって辛くなってしまうなんて、私はなんてわがままなんだろう……。
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