君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜



 夕方。
 玄関から物音が聞こえた。

 聡一朗さんが帰ってきた。
 ちょっと予定より遅い時間だ。

 足早に聞こえる足音。
 ドキドキする。

「すまない、仕事が少し長引いてしまって。もう準備は終わったのかい」

 聡一朗さんの声と共に、コンコンというノック音がした。

「はい、どうぞ」

 息を吐いて振り返った途端、聡一朗さんと目が合った。

 聡一朗さんは動きを止め、目を見開いていた。

 ドレス姿の私に驚いている。

 予想していた反応。でもそれが好印象なのかその逆なのかは判らない。
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