【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「平民のくせに頑張っちゃって……」というシャルルの声が聞こえた後にサシャバル伯爵夫人の「ちょっと待って。まさか……」という声が聞こえた。
カトリーナは体を固くしたまま動けずにいた。
ぐっとワンピースの裾を掴む。
しかしコツコツという音と共に真っ赤なヒールが目の前に止まる。
今すぐここから逃げ出したいのに足が動かない。
スッと目の前に見覚えのある扇子が見えた瞬間、顎を上げられて視線が交わる。
カトリーナは避けることができずに、されるがまま固まっていた。
「あらやだ……まだ生きていたの?カトリーナ」
サシャバル伯爵夫人の顔が目の前にあった。
シャルルが一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、すぐに険しい表情に戻る。
「誰かと思ったら……本当に?ナルティスナ領を追い出されて、今はどこで暮らしているのかしら」
「……っ!」
「だっさいけど、以前よりもいい服ねぇ……?それにそんなにプレゼントを買って何?おつかいかしら」
「気に入らないわ」
「本当、ありえないわよ」