【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
サシャバル伯爵夫人の血走った目が見えた。
髪を掴んでいたシャルルがカトリーナの頭をテーブルに叩きつけようとしていることがわかり、抵抗しようと腕を伸ばす。

それと同時にカラカラとベルが鳴り、扉から光が漏れたのが見えた気がしたが、シャルルの力に押されてしまいカトリーナは衝撃に備えて目を閉じた。


「───何を、している?」


スッと肌を刺すような冷たい空気を感じる。
カトリーナがゆっくりと瞼を開けると、目の前には怒りに満ちた表情でシャルル達を睨みつけるクラレンスの姿があった。


「今すぐに……その手を離せっ!」

「……っ、ぁっ、いやっ!」

「ま、魔法……?」


カトリーナの髪を掴んでいたシャルルの腕が凍っていくのが見えた。
シャルルの手が離れるとカトリーナの体が崩れ落ちるようにして床に倒れ込んだ。
サシャバル伯爵夫人は目を見開いて扉を見つめたまま動かない。
先程まで店の中は温かかったのに、今は震えてしまうほどに寒い。


「クラレンス、殿下……?」

「……ッ、カトリーナ!大丈夫か?」
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