虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで

最終章

(シャルルside)


シャルルはサシャバル伯爵邸に帰ってきても呆然としたまま動けなかった。
気分転換に王都に買い物に行ったシャルルがたまたま入った店にいた分不相応な女。
シャルルはどこかの使用人がプレゼントを買っているとしか思わなかったが、母がカトリーナだと気がついたのだ。

まず、ナルティスナ領にいるはずのカトリーナが王都にいることを疑問に思った。
しかし母の『見捨てられた』という言葉を聞いてすぐに状況を理解する。
カトリーナは呪われた王子に捨てられて、使用人としてどこかに身を寄せているのではないかと。

(あーあ、かわいそうに……どこにいっても捨てられちゃうの)

しかしそう思うのと同時に、あることが頭によぎる。
それは再びカトリーナをサシャバル伯爵家に戻して、扱き使うというものだった。
入っても入っても、すぐやめていく侍女達。

八つ当たりも満足にできない生活はシャルルにとって大きなストレスだった。
カトリーナが帰ってくれば仕事も押しつけられるしストレス発散もできる。
また毎日顔を合わせることになるが、使えない侍女よりもカトリーナを呼び戻して楽をすることでシャルルの頭がいっぱいになった。

(なんていい考えなんでしょう……!)
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