【アニメ化&書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
しかし廊下を通り過ぎて玄関の扉が開かれる。
クラレンスとトーマスは数時間は帰ってこない。
護衛の人達の姿もない。

(どうしよう……どうしたら!)

非力なカトリーナはどうすることもできずに荷馬車の中に投げ込まれてしまう。


「……っ!」


痛みに体を捩るが誰かに髪を鷲掴みにされる感覚に顔を歪めた。
頭上ではカチャリとお金が擦れる音が聞こえた。
「残りは伯爵邸に着いてから渡すわ」
聞き覚えのある声にゾワリと鳥肌がたった。
そして見覚えのある顔にカトリーナは大きく目を見開いた。


「フフッ、いい気味だわ……!」

「奴隷のくせに、なんでこんないい服を着ているのかしら?」

「上手く取り入ったのね?このクソ女が……でも全てわたくしのものになるの!ねぇ、お母様っ」

「そうねぇ……こんな寒くて汚らしい場所で何日も待機するなんて最悪だったわ。手間をかけさせてくれたわね。ふざけんじゃないわよ」

「……ぐっ!」


サシャバル伯爵夫人がカトリーナの頬を扇子で容赦なく引っ叩いた。
フラッシュバックする過去の記憶にカトリーナは唇を噛んだ。
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