交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
「一織さん! 一体どうしたんですか?」

「小梅。 俺はずっと、小梅と一緒にいたい。絶対に離さない。何があっても守るから、」

「落ち着いてください。息、上がってますよ。私はここにいますから。大丈夫です。私だって、一織さんと離れる気なんてありません」

静寂の中、小梅はそう言って俺の背に手を回す。いつもみたいに控えめで、でも確かな温もりを感じる優しい抱擁。
抱き締め返して、俺はほっと息を吐き出した。

「ああ…分かってる。分かってたのにな。……さっきのは、取引先の副社長なんだ」

「そうだったんですね」

「実は昼間も突然来て、『小梅と離婚して自分と再婚しろ』と言われた。もちろん有り得ない話だと追い返したんだが、まさか会社の外で出待ちされているとは」
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