交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~


それから数日が経った日のことだった。
暗雲立ち込めるその日は雨予報で、夕方からは豪雨だそうだ。
朝、小梅がカーテンを開けながら、『今夜も寒くなりそうだからおでんにしましょうか』と言うから、俺は仕事のスケジュールを浮かべて最速のプランを立てた。

だが、その予定は退勤間近になって崩れることになる。

「社長! 面倒なことになったよ。丸山副社長が来て、取次出来ないと伝えたら深山社長に会うまで帰らないとフロントで暴れてる」

新田が困ったように眉を下げる。着ているスーツが乱れているから、恐らく新田が対応しようとしたが手に負えなかったのだろう。

どこまでも脳のないやつというのはいるもので、ここ数日の平穏が束の間だったことを突きつけられて頭痛がするようだった。

重い腰を上げて社長室を出ながら、ついてこようとする新田の服装を軽く整えてやる。

「俺だけでいい。丁度これからの取引について考えが纏まったところだ。一足先に副社長に申し渡すのもアリだろ」

ニッと笑ってやると、対照に新田はますます表情を固くさせる。

「無茶はすんなよ」

久しぶりに聞く同級生としての物言いに俺は頷き返し、エレベーターに乗り込んだ。

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