天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
グルシアは軽く流して、ネクタイを緩めた。

バタン

「天使長様、コンビニで買ってきましたが」
買い物に行っていた下級天使が、寝室の戸を開けて、顔を覗かした。

「むん、スイーツは何を買ってきたのだ?早くよこせ」
魔女が、身を起こして、素早く反応した。

グルシアはレジ袋を受け取り、
バラバラと入っていたものを
ベッドの上にぶちまけた。

卵サンド、お茶、抹茶プリン、
ティラミス。

「おう、これは新発売のやつだな。
そう、抹茶シリーズで、有名な茶師が監修しているやつだ」

魔女は、コンビニスィーツにも精通しているらしい。

目を細めて、ウキウキ気分らしく、さっそくプリンの上蓋をはずし、スプーンですくって口に入れた。

「んまぁーーい」

グルシアはその様子を見て、苦笑した。
まるで、子どもじゃないか。
甘い物でご機嫌になる。

「天使長様にはこれを」
天使は、別のレジ袋を差し出した。

「なんだぁ?そっちは」
魔女がすぐに反応した。

「おにぎりです!」
天使が<余計な事を聞くな>という、イライラした口調で答えた。

「なんだ、アンまんではないのか」
興味を失ったように、プリンを続けて食べている。
甘いものならば、ひったくっているところだろうか・・

「お前たちは帰還しなさい。
あとは私が監視するから。
明日、定時の会議に出席すると
長老に連絡をしてくれ」

グルシアがそう言うと
「わかりました。お気をつけて」
下級天使たちは、すぐに光の渦と共に消えていった。
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