ワケありベビーと純真ママを一途な御曹司は溢れる深愛で離さない~君のすべてを愛してる~
「なに言ってんの。花蓮ちゃんの体は大丈夫なのって聞いてるの! 痛いところはない?」

てっきり怒られるかと思ったのに。

「ありがとうございます。わたしけっこう丈夫なんですよ。これぐらいで……」

笑いながら両手をふって見せると、右手首がずきっとする。

(……あれ?)

「どうしたの?」

山根が怪訝になる。

「どうもしません! もう、めちゃくちゃ元気です。ほら!」

嫌な予感から目をそらし、花蓮は笑って誤魔化した。
何もないことの証拠に、腕を肩から回して見せる。

「ほんとぉ?」

「ほんとほんと。もう、山根さんは心配性なんだから」

「ならいいけど、あたしは誰にでも世話焼きじゃないよ。花蓮ちゃんみたいなお嬢さんだから心配性になっちゃうだけだもの」

「お嬢さんって、わたし二十三歳で子持ちですよ」

山根の子供扱いに、大人だとアピールする。

「二十代前半なんて赤ちゃんよ。それにねー、どうも世間知らずな雰囲気あるのよねー」

山根にまだまだだと笑われる。

「わかる。なんだか花蓮ちゃんって、お嬢様って感じで、着飾ってなくても品があるっていうか」

「ちょっとミステリアスだし。逃げてきたシンデレラって感じ」

他のおばさまたちも山根の言葉に大きく頷いていて、花蓮はぎくりとした。
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