【完結】鍵をかけた君との恋
園内の飲食店はどこも満席で、とてもじゃないけど四人席は確保できそうになかった。
「乃亜と凛花で座ってゆっくり食えよ。俺達はどっかで立ち食いでいいし。なあ森?」
「うん、そうだね。ふたりなら座れるんじゃないかな」
彩られた数々のメニューを見ても、食欲が湧かぬ私は言う。
「私、まだお腹空いてないの。その辺散歩してくるから、三人で食べて?」
「え、おい」
私の腕を掴もうとした陸の手を躱し、人混みを掻き分けて表へ出た。
「ここら辺にいるから戻ってきてねーっ」
「おっけー!」
凛花の声には明るく応えた、はず。
自動販売機で水を買い、木陰に座る。
夏休み初日である遊園地の賑わいをさりげなく眺めていると、居場所違いな自分に気付いてしまい、絶句した。やり場のない感情、気分が塞ぐ。これは奈緒さんに対する失望なのか、それとも陸への嫉妬なのか、はたまた凛花への羨望か。もはや全てだ。
去年の夏は、勇太君といつも一緒にいた。図書館へ行って、勉強をして、告白をされて付き合って。彼の家にも行ったし、可愛いカフェでジュースも飲んだ。だけど今、私の隣に彼はいない。今年の夏の思い出のひとひらにも、彼が存在することはない。それが、愛を続けられない愚かな人間の実情だ。
「乃亜と凛花で座ってゆっくり食えよ。俺達はどっかで立ち食いでいいし。なあ森?」
「うん、そうだね。ふたりなら座れるんじゃないかな」
彩られた数々のメニューを見ても、食欲が湧かぬ私は言う。
「私、まだお腹空いてないの。その辺散歩してくるから、三人で食べて?」
「え、おい」
私の腕を掴もうとした陸の手を躱し、人混みを掻き分けて表へ出た。
「ここら辺にいるから戻ってきてねーっ」
「おっけー!」
凛花の声には明るく応えた、はず。
自動販売機で水を買い、木陰に座る。
夏休み初日である遊園地の賑わいをさりげなく眺めていると、居場所違いな自分に気付いてしまい、絶句した。やり場のない感情、気分が塞ぐ。これは奈緒さんに対する失望なのか、それとも陸への嫉妬なのか、はたまた凛花への羨望か。もはや全てだ。
去年の夏は、勇太君といつも一緒にいた。図書館へ行って、勉強をして、告白をされて付き合って。彼の家にも行ったし、可愛いカフェでジュースも飲んだ。だけど今、私の隣に彼はいない。今年の夏の思い出のひとひらにも、彼が存在することはない。それが、愛を続けられない愚かな人間の実情だ。