元皇女なのはヒミツです!
侯爵令嬢は彼女の沈黙を肯定と捉えて話を続ける。
「あの子はなにも知らない振りをして、わたくしたち貴族の世界をどんどん破壊していっているわ。しかも、王家の伝統や規律までも。今現在もあの子のせいで学園の風紀が乱れているしね。これはわたくしたち貴族が見て見ぬ振りをしてはいけないことだと思うの。彼女の行為がどれほど危険なものか、一度あの子自身が同じような体験をしてみないと分からないかもしれないわね。……それこそ大切なものを失う経験とか、ね?」
「そうかも……しれません」
グレースがやっと返事をした。彼女の瞳は揺らいでいた。
侯爵令嬢は微かに笑みを浮かべて、
「それを自分で気付いて成長してくれるといいんだけど……ほら、リナさんは頭が良いから機会を与えたら自身で学ぶことができる子だと思うの。ずっと平民として生きてきて学園で初めて貴族の世界に足を踏み入れたから、舞い上がっているだけだと思うから。冷静になればきっと身分差を自覚できるはず。だから、わたくしたちはもう少し見守りましょうか? ね、伯爵令嬢?」
「…………はい」