元皇女なのはヒミツです!

47 皇女の残滓

「エ……エカチェリーナ様……あ、あたしは…………」

 グレースは全身を小刻みに震わせながらおそるおそる私を見て、

「も……申し訳ありませんでしたっ!!」

 ゴンと鈍い音を立てて勢いよく地面に頭を擦り付けた。

「あ、あ、あたしはっ……エカチェリーナ様に、と……とんでもないことを……。あ、謝っても、許されることではありません……本当に申し訳ありませっ……うぅ…………」

 私は茫然自失と彼女のことを眺める。 
 しばらく、グレースのすすり泣く声だけが辺りに響いた。

 真っ赤な夕焼けがじわじわと青黒く変化していく。
 灰になった手紙は風でもうどこかへ飛んで行ってしまった。
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